歯科コラム
お子さんの歯並びを良くするポイント
近年、子どものむし歯の数は減少しており、3歳児1人当たりむし歯の数は、平成初期には2.9本でしたが、最近のデータでは0.5本となりました。歯科受診や仕上げみがきを頑張った努力のたまもので、また世の中にフッ素やキシリトールが浸透したことも関係があると考えられます。
むし歯は減少しましたが、残念ながら悪い歯並びは減少しておらず、むしろ歯並びの悪い子どもの割合は増加しているとの報告もあります。歯並びは見た目だけでなく、食べ物をよくかんで消化することや、言葉の発音、汚れのたまりやすさなどに大きく影響するため、非常に大切です。
大人になってから矯正治療を行う方法もありますが、子どもの頃から気を付けることで、悪化を防止したり、場合によっては改善も見込めます。
まず注意すべきは、かみ合わせを悪化させる癖です。小さい頃の指しゃぶりは生理的現象で問題ないですが、年齢が上がっても続く場合、指の力によって歯並びに悪影響を与え、歯を支える骨の形まで変形する可能性もあります。唇や舌をかむ癖も同様です。また口をポカンと開け続けることや、頰づえをついて勉強をする癖も良くないです。 逆に「よくかむ」ことは歯並びに良い影響を与えます。歯は「歯根膜」という組織で顎の骨に付いており、よくかむことで骨に刺激が与えられ、骨の発育が良くなります。奥歯も大事ですが、前歯でも適度にかむことが大切だといわれています。そのために家庭で注意するべきことは、食材を大きめに切ったり、軟らかく調理し過ぎないようにしたりすることです。かぶりついて食べるものを用意することも効果的です。
ただし、歯が並ぶ箇所の骨は10歳前後で成長が鈍くなるため、それ以降に慌てて気を付けてもあまり効果を期待できません。逆に3~9歳頃は歯並びを良くするチャンスとも言えます。ここまで述べたことに注意し改善すれば理想的ですが、うまくいかない場合も、その時期なら「拡大床」という簡易な矯正装置を使い、装置の力を利用して歯並びを改善できる可能性があります。
繰り返しになりますが、子どもが小さいうちは、歯並びを改善するチャンスにあふれています。目安は10歳までですが、より早い時期から気を付けることが大切です。小さい頃から歯科受診し、気になったことはかかりつけの歯科医師に質問をすることで、適切なアドバイスを受けることが重要です。