歯科コラム
補綴歯科専門医ってなに??
補綴歯科という言葉は、聞き慣れない言葉だと思います。補綴とは歯が欠けたり、失われたりした場合に人工物で補う治療のことであり、入れ歯や冠、ブリッジ、インプラントなどがこれに該当します。
「医科」では、普段診療してもらっているかかりつけ医以外にも、風邪をひいたら内科、捻挫してしまったら整形外科、子どもだったら小児科など、病気やけがの症状によって専門的な治療を受けられる病院があり、多くの人が当たり前のように診療科を選択しています。「歯科」にも専門領域があり、日本歯科専門医機構では、それぞれの専門領域で適切な研修教育を受け、十分な知識と経験を備え、患者から信頼される専門医療を提供できる歯科医師を「歯科専門医」と呼んでいます。
従来、日本歯科専門医機構が認定する5つの専門医(歯科麻酔専門医、歯周病専門医、小児歯科専門医、歯科放射線専門医、口腔外科専門医)がありましたが、今年5月から新しく補綴歯科専門医が6つ目の歯科専門医として加わることになりました。
補綴歯科専門医になるには、補綴歯科分野の知識と技術が審査され、日本補綴歯科学会が定めた難症例に対応できることが必須条件となります。それら難症例に対して、さまざまな補綴装置を応用して、生涯にわたり長期的に口腔機能を維持、管理できる専門性を有しているのが補綴歯科専門医です。
現在、日本補綴歯科学会には補綴歯科専門医の取得を目標とする歯科医師に対し、専門医の前段階として修練医や認定医に認定する制度もあり、難症例に対応できる歯科医師を育成しています。
今後、歯科専門医制度が適切に運用され周知されることで歯科医師の質や技術力の向上、また患者さんが適切な歯科医院や治療を選択しやすくなり、かかりつけ歯科医と大学病院、専門医がスムーズに連携することで県民の皆さまにより良い歯科医療が提供できることを願っています。