歯科コラム
「口腔ケアと健康」~口腔と健康は結びついている~
口腔ケアという言葉を耳にしたことはありますか?広い意味では「食べること」「飲み込むこと」「唾液の分泌」「発音」といった口のあらゆる働きのケアを意味し、主に次の3つを目的とします。
1.口腔内細菌の除去
口の中には300種類以上の細菌が500億~1兆個も潜んでおり、細菌同士が集まって塊を作ります。この塊をプラークといい、プラーク中の細菌が炎症を発生させ、歯の周囲の歯肉や骨を破壊すると歯周病につながります。
2.全身疾患の予防や全身の健康状態の維持
歯周病と歯周病菌は「狭心症」「心筋梗塞」「肺炎」「糖尿病」「認知症」「肥満」「骨粗しょう症」など、さまざまな疾患に対して影響があります。歯周病そのものの口への影響として、歯がぐらついて抜けてしまうことも考えられます。歯がなくなると食事がとりにくくなり、十分な栄養が摂取できず、体が弱ることにつながります。
3.口腔機能の維持
オーラルフレイルとは、口腔機能が衰えた状態を指します。その兆候である滑舌低下や食べこぼしは唇運動機能や舌圧が低下してきていることを、むせたりするのは、嚥下機能の低下を、かめない食品の増加はかむ力の低下を示しています。
オーラルフレイルが進行すると口腔機能低下症となり、口のどこの機能が弱くなっているかを調べる機能検査を行い処置する必要が出てきます。具体的な検査や処置については、かかりつけの歯科医院にご相談ください。
口腔ケアの目的は、口の中を清潔にするだけでなく、歯や口の疾患を予防し、口腔の機能を維持することにあります。口は内臓につながる入口です。口腔ケアを怠るとドミノの1つ目が倒れるかのごとく、全身の健康に悪影響を及ぼします。また口腔ケアはQOL(生活の質)の向上のみならず、誤嚥性肺炎(異物を誤って飲み込むこと)などの全身疾患の予防と全身の健康状態の維持・向上につながります。