歯科コラム

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「口腔機能低下症」について

「口腔機能低下症」について

 皆さんは、テレビや雑誌などで「口腔機能低下症」という言葉を聞いたことがありますか。「口の中が渇きやすくなった」「みそ汁やお茶でむせるようになった」「硬いものが食べづらくなった」といったことはありませんか。このような症状がある人は、口腔機能低下症の可能性が高いと思われます。

 口腔機能低下症とは一体何でしょうか。お口の機能は、話す、食べ物をとらえる(捕食)、咀嚼する、味わう、飲み込む、呼吸する、顔の表情を作るなど多岐にわたります。この機能が加齢や疾患、障害によって少しずつ低下していくことが口腔機能低下症です。

 口腔機能低下症を仕方のないことだと放置しておくと、咀嚼障害、摂食嚥下障害など口腔機能の障害となり、低栄養やフレイル(虚弱)、サルコペニア(筋力低下)を進めてしまい全身の健康に影響を及ぼしてしまいます。口腔機能の障害となる前に、ぜひ、かかりつけ歯科医院を受診しましょう。

 実は口腔機能低下症は2018年から歯科での病名が付けられ、歯科医院で保険治療が受けられるようになりました。まだ歯科の世界でも新しいものなので、皆さんの認知は低いかもしれませんが今後広く普及していきますので、ぜひ知っておいてください。

 歯科医院での流れを説明します。まず問診を行い、お口の気になることをお聞きします。続いて口腔機能検査を行います。7項目を検査し3項目以上に問題があれば口腔機能低下症と診断され、治療へと進みます。口腔機能検査でケアすべきポイントが明らかとなれば歯科治療や食事の仕方、栄養指導、生活指導、運動指導を行います。歯科だけでフォローできない場合は、管理栄養士や理学療法士、医師、介護支援専門員などと連携しながら治療を進めていきます。

 お口の健康は身体の健康にもつながります。まずはご自身のお口の状態を知ることが大事です。少しでも異変を感じたらかかりつけ歯科医院に相談してみてください。歯科医院を入り口として、お口の健康を考えてみましょう。