歯科コラム

コラム

顎が弱っています!

顎が弱っています!

 近年、顎の関節の異常を訴える人が増えています。顎関節症といい、原因はある程度解明されていますが、原因を一つに絞ることができないことが治療を難しくしている要因と考えられています。顎関節症の治療は、病状に見合った治療法が必要です。

 例えば、さまざまな原因の中でも心理的なストレスと不正咬合について考えてみます。顎を動かしているのは筋肉ですが、ストレスと不正咬合が原因の一つとなりその筋肉が緊張し顎が変な動きをして、それが引き金となることで症状が進行して、顎の関節の周りが痛くなる場合があります。

 ここで挙げたストレスと不正咬合は、数ある原因のうちの一部です。心理的ストレスが簡単に解決できるものではないことは、皆さんよくご存じだと思います。また、不正咬合とはかみ合わせの悪い歯の状態を指し、それが歯を支える歯周組織にも影響を与えて病気の原因になったりするため、さまざまな方法でかみ合わせが正しくなるよう治療します。この治療によって顎関節症も治る場合もありますが、顎の関節自体が弱くなっている場合もあり、問題はそれほど単純ではありません。

 ブラキシズム(歯ぎしり)、クレンチング(くいしばり)も筋肉の緊張から発生する顎の異常な動きです。ブラキシズムで毎日、上下の歯をギリギリとこすり合わせると、歯が擦り減ったり揺らされたりして顎の骨へのダメージとなり、歯周病の原因になる可能性もあります。

 これらの症状を改善するためには、オクルーザルアプライアンス(マウスピース)を夜間装着するという治療法があります。咀嚼筋や周囲の筋肉の緊張を取り除き、悪循環を断つと同時に、顎の関節になるべく負担がかからないよう調整して使用します。また、その他にも薬物療法、開口訓練をはじめとした運動療法、理学療法、咀嚼筋の緊張を緩和させる効果が期待できるボトックス治療などがあります。一朝一夕に治ることはほとんどないので、できるだけ気を楽にして、焦らず治療を続けるようにしましょう。

 現時点で痛みがなくても、犬歯がすり減っている、口を開けると音がする、歯がぐらつく、片頭痛がする、周りで寝ている家族に「歯ぎしりがうるさい」といわれる、などに当てはまる場合は、一度かかりつけ歯科医院に相談してみてはいかがでしょうか。