歯科コラム

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「パタカラ」って?

「パタカラ」って?

 健康な状態と要介護状態の中間に、「フレイル(虚弱)」と呼ばれる状態があります。加齢に伴うフレイルへの対策には若い年代からの規則正しい生活習慣と食生活が大切です。それに対して国は「国民皆歯科健診」の導入を検討しており、すでに県内では、市民が年1回無料で歯科健診を受けられる「市民皆歯科健診」としての取り組みを始めている市町村もあります。

 「オーラルフレイル」は直訳すると「お口の虚弱」で、要介護状態や寝たきり状態への移行を早めてしまう重大な原因の1つです。お口には食べる・息をする以外にも、飲み込む・コミュニケーションを取る・唾液を分泌するなどのさまざまな機能があり、その役割をうまく使いこなせなくなったと感じたらオーラルフレイルの前兆かもしれません。オーラルフレイルが進行するとお口の機能が低下し、自分で食べ物をかみ砕いて飲み込むことが難しくなる「摂食嚥下障害」という状態に陥ることもあります。

 お口の機能を鍛えるためには、お口や舌の筋肉を鍛える「パタカラ体操」がおすすめです。「パ」は唇の筋力、「タ」はかんだものを飲み込む時の舌先の動き、「カ」は喉の奥へ送り込むときに使う舌の根元の部分の筋力、「ラ」は食べものを喉の奥へ運ぶ動きの強化になります。パタカラ体操を習慣にすれば、お口の機能が改善していくはずです。家族やお友達同士で楽しい笑い声とともに「パ、タ、カ、ラ」を響き渡らせましょう。

 また、8020運動をご存じでしょうか?80歳になっても20本以上自分の歯を保とうという運動で、達成するには日頃からの定期的なメンテナンスが大切です。既に歯を喪失している方も悲観せず、しっかりと適合した義歯を使用するなどして食べられるものを少しでも増やしてほしいと思います。

 オーラルフレイルは高齢の方々だけの問題ではありません。ちょっとした不調や歯科健診のために歯科医院を受診するのはおっくうに感じるかもしれませんが、日々のメンテナンスをおろそかにしてしまうと驚くほどお口の環境が悪化してしまうこともあります。分からないことがあればかかりつけ歯科医院へ気軽に相談していただき、ぜひ早期発見・早期治療を心掛けることで、自分のお口を守りましょう。