歯科コラム

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睡眠中の歯ぎしり

睡眠中の歯ぎしり

 皆さんは、睡眠中の歯ぎしりを指摘されたことはありますか?睡眠中に歯ぎしりをしている人の割合については、さまざまなデータがありますが、成人は10%程度、小児は10~20%程度という報告もあります。歯ぎしりは寝ている時にすることが多いため、他人から指摘されないとなかなか自覚することができません。また、歯ぎしりがあると次のような悪影響が生じることがあります。

 ①歯がすり減ってしまい、表面のエナメル質が削れて中にある象牙質という組織が露出してしまいます。その結果、冷たい物がしみやすくなります②顎に痛みが出たり、口を開ける際に顎の関節付近からカクッと音がしたりすることがあります。進行すると、食事などで口を開ける際に顎が痛むため、大きく口を開けることができなくなります③歯ぎしりによる過度な力によって、詰め物や差し歯が外れやすくなります。

 睡眠中の歯ぎしりでは、起きている時に最も強くかみしめた状態以上の筋の活動が記録されているという報告もあり、歯や顎に普段より大きな力がかかっていると考えられます。

 さまざまなトラブルを引き起こす睡眠中の歯ぎしりですが、その原因はなんでしょうか?原因は1つではなく、ストレス、遺伝、飲酒、喫煙、睡眠障害など幅広い要因が関係していると報告されています。

 治療法としては、スプリント療法や薬物療法などがあります。スプリント療法とは、夜寝る時にマウスピースを装着するものです。ナイトガードと呼ばれることもあり、歯科医院でご自身の歯の型を採ることで作成することができます。素材は硬いものや軟らかいものがあり、一般的に上の歯に装着することが多く、非侵襲的(体を傷つけず負担を与えない)な治療法として多くの患者さんに適用されています。薬物療法とは、筋弛緩作用のある薬などで睡眠中の歯ぎしりを抑制していく治療法です。

 自覚症状が出にくい睡眠中の歯ぎしりが長期間続くことで、さまざまな悪影響が出てきてしまいます。人から歯ぎしりを指摘されたことがある人、歯のすり減り、顎の痛みを感じた人は一度、かかりつけ歯科医院で相談してみてください。