OHATとは

OHAT(Oral Health Assessment Tool)は、Dr.Chalmersらによって作成され、日本では松尾浩一郎・東京医科歯科大学教授らによって日本語版に翻訳され紹介された口腔アセスメント用の評価用紙です。

「チーム医療」に従事する担当者間の評価のバラつきを低減し、標準化された質の高い口腔ケアの提供に役立つツールです。岐阜県歯科医師会では、松尾教授の許可と指導の下、若干の改定を加え岐阜県版を作成し、医療従事者の皆様にご提供させていただきます。

OHATのメリット

1.口腔アセスメントの均てん化

OHATを使用することで、評価する担当者の職種などにかかわらず誰が評価しても、比較的均一な評価結果が得られやすくなります。

2.口腔ケアの個別化

OHATで口腔内の問題を把握することで、適切なタイミングで歯科への依頼や、その患者の口腔の状態に合った標準化された口腔ケアプロトコルの運用がしやすくなります。

OHATシートの使い方

1.OHATのポイント

OHAT実施のタイミングは、口腔ケア開始直前、ケア開始後定期的(例えば週1回など)に実施します。口腔ケアプロトコルは全身や口腔の状況に合わせて作成・修正します。

2.口腔ケアのポイント

  • リスク者(OHAT高得点者)には粘膜ケアの充実が効果的です。OHATの点数が高いほど誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。口内環境が安定するまで、通常の口腔ケアに加えて粘膜ケアを頻回に実施します。
  • 口腔ケア中の誤嚥に注意しましょう。リクライニング30度以上、頭部屈曲位(頸部前屈位)を厳守することで、誤嚥リスクを低減します。誤嚥リスクが高い場合は、含嗽・注水洗浄の代わりに口腔用ウエットティッシュで清拭します。

3.OHATの評価方法

OHAT実施のタイミングは、口腔ケア開始直前、ケア開始後定期的(例えば週1回など)に実施してください。
OHATの評価では、下の「OHATシート」で対象者の口腔内の状態を確認して、「歯科的観点における多職種連携シート」にその評価点を記入します。

  • 唾液(口腔乾燥)では本人の訴えも聞いてください。歯痛では歯の痛みだけでなく、口腔内の痛みについても本人の訴えを聞いた上で、言動や表情をよく観察してください。
  • 「OHATシート」の写真と本人の口腔内をよく見比べ説明をよく読み、「歯科的観点における多職種連携シート」に該当するスコアを記載してください。
  • 唇→舌→歯肉→頬粘膜→唾液→残存歯→義歯→口腔清掃状態→歯痛の順番に対象者の口腔内の状態を評価してください。
歯科的観点における多職種連携シート

歯科的観点における多職種連携シート

4.口腔ケアプランの作成

下の「口腔ケアプロトコール!」を参考に、患者さんごとの口腔ケアプランを作成してください。

口腔ケアプロトコール!シート

口腔ケアプロトコール!シート

5.連携シートのスコアについて

連携シートでスコアが「歯科への受診を勧める」に該当する項目が一つでもあれば、患者・家族の同意のもと、かかりつけの歯科医院を受診、または、かかりつけの歯科医院に訪問診療を電話にて依頼してください。
もし、かかりつけの歯科医院が訪問診療を行っていない場合は、岐阜県歯科医師会在宅歯科医療連携室にお電話ください。最寄りの訪問歯科診療が対応可能な診療所をご紹介いたします。

口腔内の状態を聞いて評価する
=歯科治療必要性判断チャート

「歯科治療必要性判断チャート」は、OHATが口腔内を直接観察することができる機会の多い職種(看護師、言語聴覚士など)を対象にしているのに対し、患者や家族の訴えを聞くことが多い職種(介護支援専門員など)を対象としたツールです。
患者・家族の訴える症状に該当する欄にチェックをし、診療申込書や訪問歯科診療申込書に添付して依頼してもらいます。

歯科治療必要性判断チャート

仮画像です

動画

OHATの評価方法、口腔ケアの実践方法について解説。